3分で読めます

ポイントは「あとで返すお金」でいいのか — スーパーの2つのやり方から考える

ネットショップのポイント制度は、たいていスーパーのやり方を無意識にコピーしています。買うと貯まり、貯まると値引きになる。日本で暮らしていれば体に入っている形なので、疑わずにそう設計してしまいます。

そこで、実際のスーパーが何をしているかを2つ見てみます。

①「貯めさせない」やり方

オーケーのオーケークラブは、会員が現金で払うと、酒類を除く食料品が本体価格の3/103(約3%)引きになります。入会金と年会費は無料です。ポイントは貯まりません。その場で安くなります。

この割引が始まったのは1989年、消費税が導入されたときでした。価格を上げるのではなく下げる、という判断だったと同社は説明しています。

貯める仕組みがないことが特徴です。会員証は「安く買う権利」であって、通貨ではありません。

②「貯めて、お金に戻す」やり方

オオゼキのキャッシュバックカードは、税抜100円で1ポイントが貯まります。1ポイントは1円として、次の買い物にそのまま使えます。さらに毎月5のつく日が現金交換日で、貯まったポイントを100円単位で現金に交換できます。

こちらは貯まりますが、行き先はお金です。ポイントを持っているという状態は、値引きの権利を先に受け取っているのと同じです。

共通しているのは「安さで語っている」こと

やり方は逆に見えて、2つとも同じことを言っています。うちで買うと安い、です。

そして毎日食べるものを大量に売る店では、これが正解です。買う理由が「必要だから」に決まっている商品で、他店と比べられるのは価格です。規模があるほど、1%でも効きます。

専門店が同じことをすると何が起きるか

問題は、ネットショップの多くがこの形だけを持ち帰ってしまうことです。

還元率1%のポイント制度は、大手と同じ土俵に立つという宣言です。そして量で戦う土俵では、量の多いほうが勝ちます。品揃えや知識で選ばれているショップが、最後に価格の話をして終わってしまいます。

ポイントの行き先をお金以外にできるかどうかが、ここでの分かれ目です。値引きに置き換えられないもの——先に知らせる、直接相談する、名前が残る——は、規模が大きいほど提供しにくくなります。専門店にとって数少ない、規模が不利にならない領域です。

考え方は値引きではなく「つながり」を渡すにまとめました。

それでもスーパーから学べること

真似しないほうがいいのは還元の形であって、運用の巧さではありません。

オオゼキの5のつく日は、よくできています。交換できる日をショップ側が決めることで、ただの残高が予定に変わります。ネットショップでも、期間限定の交換先を用意する、特典の受付を月に一度にする、といった形で同じことができます。いつでも交換できるものは、いつまでも交換されません。

オーケーの潔さも参考になります。貯める仕組みを持たないという選択をして、その代わり条件(現金払い)をはっきり示しています。中途半端に全部やるより、何をしないかが決まっている制度のほうが、お客様にも伝わります。

まとめ

スーパーのポイントは、いまその場で安くするか、あとでお金に戻すかの違いで、どちらも「お金」です。売っているものと規模を考えれば正しい設計です。専門店がそこだけを真似ると、いちばん弱い土俵に自分から上がることになります。ポイントが何に変わるのか——ここだけは、自分の店の強みから決めてください。