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マイルは「あとで返すお金」でいいのか — スーパーの2つのやり方から考える
ネットショップのマイル制度は、知らないうちにスーパーの仕組みをそのまま取り入れがちです。
買うと貯まる。貯まると値引きになる。
日本で暮らしていると馴染みのある仕組みなので、特に疑問を持たずに設計してしまいます。
では、実際のスーパーではどのように設計されているのでしょうか。ここでは、2つの例を見てみます。
①「貯めさせない」やり方
オーケーのオーケークラブは、会員が現金で払うと、酒類を除く食料品が本体価格の3/103(約3%)引きになります。入会金と年会費は無料です。ポイントは貯まりません。その場で安くなります。
この割引が始まったのは1989年、消費税が導入されたときでした。価格を上げるのではなく、下げるという判断だったと同社は説明しています。
特徴は、貯める仕組みがないことです。
会員証は「あとで使えるお金」ではありません。あくまで「安く買える権利」です。
②「貯めて、お金に戻す」やり方
オオゼキのキャッシュバックカードは、税抜100円で1ポイントが貯まります。1ポイントは1円として、次の買い物にそのまま使えます。さらに毎月5のつく日が現金交換日で、貯まったポイントを100円単位で現金に交換できます。
こちらはポイントが貯まります。ただし、最終的に戻ってくるのはお金です。
ポイントを持っている状態は、言い換えると「あとで受け取れる値引き」を先に持っているようなものです。
共通しているのは「安さで語っている」こと
一見すると、2つのやり方は正反対に見えます。
しかし、どちらも伝えていることは同じです。
「うちで買うと安い」。
毎日食べるものを大量に売るスーパーにとって、これは分かりやすい強みです。
買う理由が「必要だから」と決まっている商品では、他店と比べられるのは価格です。規模が大きいほど、1%の差も効いてきます。
専門店が同じことをすると何が起きるか
問題は、ネットショップの多くがこの仕組みだけをそのまま持ち帰ってしまうことです。
たとえば還元率1%のマイル制度は、「大手と同じ土俵で価格を競います」という宣言にもなります。
そして、量で競う土俵では、量の多いほうが有利です。
品揃えや専門知識で選ばれているショップなのに、最後は価格の話だけをして終わってしまいます。
そこで考えたいのが、マイルの行き先です。
お金以外のものに変えられるか。
先に情報を知らせる。直接相談できる。名前が残る。
こうした、値引きには置き換えにくいものは、規模が大きいショップほど提供しにくくなります。専門店にとっては、数少ない規模で不利にならない領域です。
考え方は値引きではなく「つながり」を渡すにまとめました。
それでもスーパーから学べること
真似しないほうがいいのは、還元の形です。
一方で、スーパーの運用には参考になるところがあります。
オオゼキの5のつく日は、その一例です。
交換できる日をショップ側が決めることで、ただの残高が予定に変わります。
ネットショップでも、期間限定の交換先を用意したり、特典の受付を月に一度にしたりするなど、同じ考え方を取り入れられます。
いつでも交換できるものは、いつまでも交換されないことがあります。
オーケーの潔さも参考になります。
貯める仕組みを持たないと決め、その代わりに条件(現金払い)をはっきり示しています。
何でも取り入れて中途半端にするより、「何をしないか」まで決まっている制度のほうが、お客様にも伝わりやすくなります。
まとめ
スーパーの要点は、「その場で安くする」か「あとでお金に戻す」かの違いはあっても、どちらもお金として使えるものです。
売っているものと規模を考えれば、これは合理的な設計です。
ただ、専門店がその仕組みだけを真似すると、自分からいちばん弱い土俵に上がることになります。
マイルが何に変わるのか。
ここだけは、自分の店の強みから決めてください。