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コスメ・ビューティーのマイル設計例 — 消耗品だからこそ「どこで買うか」を決めさせる

業種ごとの設定例、1回目はコスメ・ビューティーです。

この業種を最初に取り上げるのは、数字を使った設計がいちばん分かりやすいからです。まずここで基本の型を押さえてから、当てはまりにくい業種へ進みます。

この業種の前提

項目 値
平均注文額 4,000円
粗利率 60%
購入頻度 年8回(約6週ごと)

ここで使う数字は、すべて仮のものです。実際に設定するときは、自分の店の数字に置き換えてください。

コスメの大きな特徴は、消耗品であることです。使い切れば、また買う必要があります。

つまり、マイル制度の役目は「リピート購入を作ること」だけではありません。次に買うとき、どこで買うかを選んでもらうことが重要です。

ここを間違えると、もともと買ってくれるお客さまに、ただ割引を配るだけになってしまいます。

① 還元率を決める

粗利率60%なので、還元率の上限は粗利率×5%で3.0%です。今回は余裕を見て、2.5%にします。

付与率は100円で5マイルです。1回4,000円購入すると、200マイル貯まります。

還元率が2.5%なので、1マイル = 0.5円です。

② ミッションを決める

一度きり(オンボーディング)

ミッション マイル
登録プレゼント 150
肌質アンケートに回答 150
合計 300

300マイルは、購入1.5回分です。目安の1〜2回分に収まっています。

アンケートを入れる理由は、マイルを配るためだけではありません。肌質を答えてもらえば、その情報を使って、あとから送る内容を変えられます。コスメでは、集めた情報を実際のコミュニケーションに活かせます。

繰り返し

ミッション マイル 想定
商品レビュー 100 年4回

コスメは、レビューが購入の判断に直結しやすい商材です。そのため、繰り返し可能なミッションの中でも、レビューには大きな見返りを設定します。

年間の獲得マイルは、購入1,600マイル + レビュー400マイルで、約2,000マイルです。

③ 交換先を3段つくる

段 必要マイル数 中身 条件
低 800マイル ¥400 OFF なし
中 1,600マイル ¥800 OFF 最低利用金額 ¥4,000
高 — サンプルセット・カウンセリング 最低ステージで開く

まず、入口となる800マイルは購入4回分です。オンボーディングでもらえる300マイルを差し引くと、新規のお客さまなら実質2〜3回の購入で1枚目に届きます。

約6週ごとに購入する人なら、3〜4か月です。次の購入まで遠すぎず、忘れられにくい距離です。

中段の1,600マイルは購入8回分です。年間の獲得マイルが約2,000マイルなので、1年に1回届く設計です。ここには最低利用金額をつけます。

クーポンを編集する画面。クーポンの種類は定額、必要マイル数、最低ステージ、交換回数制限、割引金額、最低利用金額の各項目が並び、最低利用金額には0の場合は制限なしと注記されている。
金額の大きいクーポンには最低利用金額を設定します。最低ステージも同じ画面で指定できます。

¥800のクーポンを¥800の買い物に使われると、利益は残りません。一方、「¥4,000以上」という条件をつければ、割引額は20%に収まります。

④ ステージと限定枠

有効期限は1年なので、残高が2,000マイルを大きく超えることはありません。長く利用している人に報いる役割は、ステージ側に持たせます。

ステージ しきい値 到達
ブロンズ 0 全員
シルバー 2,500マイル 約1.2年
ゴールド 6,000マイル 約3年

ステージの限定交換オプションには、値引き以外のものを用意してください。この業種なら、いくつも選択肢があります。

  • 新作サンプルの先行提供 — 原価が小さく、感想も戻ってくる
  • 肌の悩み相談枠 — 月に数件なら対応できる
  • 限定色・限定セットの先行購入権

コスメは、効果を実感するまでに時間がかかる商材です。その間を一緒に支えること自体が、特典になります。

⑤ この業種で見る数字

購入頻度が高い業種では、実際に交換されているかを見てください。

  • 交換者数が伸びない — 入口が遠いか、交換先に魅力がない可能性があります。まずは入口を確認します
  • 最終活動日が消費サイクルの2倍を超えた会員 — 約12週です。他店に移った可能性があります
  • レビューのミッション達成数 — この業種で特に価値のある行動です。伸びていないなら、文面や配置を見直します

この業種の落とし穴

購入頻度が高いからこそ、特典が日常になり、効きにくくなることがあります。毎回マイルが貯まり、数か月ごとにクーポンがもらえる。これが当たり前になると、特典が単なる値引きの一部に見えてしまいます。

だからこそ、上位のステージ特典だけは金銭以外のものにしてください。サンプルや相談は、単純な値引きとは違うため、慣れにくい特典になります。

まとめ

コスメは、数字を使って設計しやすい業種です。

粗利率60%なら還元率は2.5%まで。入口は800マイルにして、実質2〜3回の購入で届くようにします。中段は、年1回届く1,600マイルに設定し、最低利用金額をつけます。そして、ステージの特典には値引き以外のものを用意します。

次回は食品・飲料です。この業種はさらに素直に計算できますが、そのぶん他店と同じ設計になりやすいという、別の問題があります。